【論文】肉を食べると心臓病(冠状動脈疾患)のリスクが上昇

【論文】肉を食べると心臓病(冠状動脈疾患)のリスクが上昇
赤肉と加工肉は心臓病(冠状動脈疾患)のリスクを高めることが判明した。
アメリカ臨床栄養学ジャーナルである「The American Journal of Clinical Nutrition」の論文を引用します。
Higher consumption of unprocessed red meat was associated with a 9% (relative risk (RR) per 50 g/day higher intake, 1.09; 95% confidence intervals (CI), 1.06 to 1.12; nstudies = 12) and processed meat intake with an 18% higher risk of IHD (1.18; 95% CI, 1.12 to 1.25; nstudies = 10).
未加工の赤身肉の摂取量が多いと、IHD のリスクが 9%(1 日 50 g 摂取量増加あたりの相対リスク(RR)、1.09、95% 信頼区間(CI)、1.06 ~ 1.12、研究数= 12)高く、加工肉の摂取量が多いと IHD のリスクが 18%(1.18、95% CI、1.12 ~ 1.25、研究数 = 10 )高くなることが示されました。
参考論文(Taylor & Francis Online)
世界中で冠状動脈疾患(心臓に血液を供給する動脈が狭くなることで起こる)は、毎年約900万人の命を奪っています。あらゆる疾患の中で最も多く、医療制度に大きな負担をかけています。これまで肉を食べると心臓病のリスクが高まるかどうかは不明でした。
オックスフォード大学ナフィールド人口保健学部の研究者らは、140万人以上を対象とした13のコホート研究を含む、これまでで最大規模の前向き証拠の体系的レビューを実施。
全体として分析から得られた証拠は次のことを示しています。
加工肉(ベーコン、ハム、ソーセージなど)の摂取量が1日50g増えるごとに、冠状動脈性心疾患のリスクが18%増加。加工されていない赤身の肉(牛肉、羊肉、豚肉など)の摂取量が1日50g増えるごとに、冠状動脈性心疾患のリスクが9%増加します。
赤身の肉に含まれる飽和脂肪と加工肉に含まれるナトリウム(塩)の含有量が多いことが原因と考えられています。飽和脂肪を多く摂取すると、有害な低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールのレベルが上昇し、塩分の過剰摂取は血圧を上昇させます。高血圧、LDLコレステロールはどちらも、冠状動脈性心疾患の確立された危険因子です。
また、同じ研究チームによる以前の研究でも、赤肉や加工肉を適度に摂取した場合でも、大腸がんのリスクが増加することが判明。
今回の研究の共同筆頭著者は、「食肉生産が温室効果ガス排出の大きな要因です。環境に良い影響を与えるためには食肉生産と消費を減らす必要があります。私たちの研究は赤肉と加工肉の摂取を減らすことで、個人の健康にも利益がもたらされることを示している。」と語っています。
まとめ
今回の分析に使用された研究は、主にヨーロッパや米国に住む白人成人が対象です。研究チームは、東アジアやアフリカを含む他の集団におけるこれらの関連性を調査するには、より多くのデータが必要だと述べています。